スタート9.6kmで超級——逃げには覇者が3人いた
この日は旗が振られてわずか9.6kmで、道が超級クロワ・ド・フェール峠(24.1km・平均5.2%)に突き当たります。山でステージを狙うチャンスは今日が最後——アタック合戦は峠の登りまでもつれ、先行した6人が吸収された後に、14人の強力な逃げがようやく固まりました。その顔ぶれが豪華です。ヴィスマ・リースアバイクは前日と同じくクス、ジョーゲンソン、アルミライユ、ピガンゾーリの4枚看板。水玉ジャージのカラパスにはヒーリーが付き、今大会まだ勝ち星のないネットカンパニー・INEOSはアレンスマンとフォスの2枚。山岳賞に望みをつなぐヴァランタン・パレパントルに、トビアス・ヨハンネセン、アユソも乗り込みました。そして特筆すべきは、この逃げにグランツールの総合優勝経験者が3人もいたことです。2019年ジロを制したカラパス、2022年ジロのヒンドレー、2023年ブエルタのクス。しかもヒンドレーは総合2位エヴェネプールの、リッチテッロは総合4位セクサスの「サテライト」として、後ろの主役のためにも走る二重任務です。峠の中腹では、もうひとつの決着が動きました。マイヨ・ヴェールのピーダスンが超級の登りで単騎、集団から飛び出したのです。狙いは下りきった66.5km地点の中間スプリントただひとつ。下りで逃げに追いつき、誰にも争われずに25点を回収して、ポイント賞は事実上の決着となりました。あとはパリのゴールにたどり着くだけ——山を越えてでも点を摘みにいくスプリンターの執念が、4色のジャージの1枚目を確定させたのです。カラパスも頂上3.5km手前から抜け出して超級の20点を先取り。朝の時点で首位カラパス91点、2位はマイヨ・ジョーヌ90点、3位パレパントル84点という大接戦の山岳賞レースで、最初の主導権を握りました。
🔰 初心者向けメモ: クイーンステージ——その大会でいちばん過酷な一日
グランツールでは、最も獲得標高が大きく、総合争いの脚が試される山岳ステージを「クイーンステージ」と呼びます。今年のツールはこの第20ステージがそれ——170.9kmに超級3つと1級1つ、獲得標高5,450mを詰め込み、しかも最終日前日という異例の遅さに置かれました。獲得標高5,450mとは、登った高さの合計が、海抜0mから富士山の頂上(3,776m)まで登り切って、さらに1,700m近く登り足す量だということ。それを一日で、しかも3週目の脚で、です。2018年大会の総合優勝者で、現在は監督としてレースを追うゲラント・トーマスは「数字の上では、史上最難のツールのステージかもしれない」と評しています。3週間の疲労が積み重なった最後の土曜日に最難関を置く——「最後までサスペンスを」と繰り返した主催者のコース設計の、これが本命でした。
出典:Cyclingnews: As it happened - Late crash drama on stage 20 of the Tour de France ↗