白いジャージがラウンドアバウトで滑り、元チームメイトが背中を押した
ベラの町を出て旗が振られると、すぐにアタックが始まりました。先陣を切ったのはイーサン・ヘイターです。彼はこの日の朝、トロフィーとバナナを受け取っていました。前日の敢闘賞の賞品で、この大会3回目の受賞です。
20km地点でアレクセイ・ルツェンコが動きます。逃げが形になりかけた、そのときでした。
集団の後方で、ネットカンパニー・INEOSのオスカー・オンリーが落車します。25歳以下の総合最上位が着る白いジャージ、ヤングライダー賞のリーダーです。ゴールまで131kmの地点、ラウンドアバウトの出口で滑り、道路脇の芝生へ投げ出されました。
「まったく分かりません、正直なところ。さっきまで自転車に乗っていて、次の瞬間には地面を滑っている。ここの道はかなり滑るんだと思います」
すぐ乗り直したものの、そばにチームメイトはいません。しばらくはチームカーの後ろで風を避け、レースドクターの車で手当てを受けました。
そこへ横に並んだ選手がいます。ひと声かけて、その背中を手で押しました。ティモ・ローセン。オンリーが去年まで走っていたピクニック・ポストNLの選手で、2024年と2025年の2シーズン、チームメイトでした。いまは別のチームです。
ローセンは33歳。ユンボ・ヴィスマで9シーズン走ったあと2024年に移り、役回りを変えてスプリントの列車に入りました。移籍のときチーム公式の紹介で語っていたのは、若い選手たちに経験を渡し、そこから自分も学びたい、ということでした。「できるかぎり助けたい」
同じ紹介で、彼はこうも言っています。「うまくいかない日はあります。トップの結果だけを見ていたら、いい日より悪い日のほうが多いこともある。だから一日ごとに学んで、次はよくなることが大事なんです」
オンリーは集団に戻ります。
集団が落ち着くと、逃げは30人ほどになりました。そのなかで総合順位がいちばん高かったのが、マスから8分05秒差につけていたヤコブ・オムルゼルです。
出典:ラ・ブエルタ公式レポート: Prodigy Omrzel and red-hot Mas earn their stripes(ヘイターが最初のアタック、オンリーの落車、25人の合流、逃げの中で総合最上位だったオムルゼル) ↗Cyclingnews ライブ(敢闘賞の副賞がバナナだったこと、落車の状況、ローセンが声をかけて押したこと、逃げ30人の顔ぶれ) ↗Domestique: オンリーが落車を振り返った言葉(「さっきまで自転車に乗っていて、次の瞬間には地面を滑っている」)と、落車地点が残り131kmだったこと。オランダの自転車メディア、英語版 ↗Timo Roosen — Team Picnic PostNL 公式(2024年の移籍でスプリントの列車へ役回りを変えたこと、「help as much as he can」、「you can often have more bad days than good days」) ↗Timo Roosen — Wikipedia(英語版。ユンボ・ヴィスマ2015〜2023、2024年から現チーム) ↗