エースを最後に押し上げた20歳が、最初の山で自転車を降りた
前日、UAEチーム・エミレーツ・XRGはエースを失っただけではありませんでした。落車の混乱でチーム全員が11分以上を失い、総合争いの立ち位置そのものが消えていました。
だから朝の彼らは、いちばん前にいました。0km地点の旗が下りると、最初の飛び出しにドメン・ノヴァクが乗ります。7kmほど先で次の動きが出て、そこにパヴェル・シヴァコフが乗りました。この日、彼が集団に戻ることはありません。
集団が逃げを行かせたのは50kmを過ぎてからで、そこから前の人数はまだ増え続けました。24人がひとつにまとまったのは、120km地点のプエルト・デ・トゥドンスの上りです。赤いジャージを着ているのはモビスターです。そのモビスターは前で数を持てず、追う仕事はそのまま自分たちの肩に乗りました。
いっぽう、逃げに乗れなかったUAEの2人が最初の山で後ろへ流れていきます。ジェイ・ヴァインと、パブロ・トレスです。トレスは20歳、初めてのグランツールでした。前日から体調が良くないと話していたと報じられていて、この日はプエルト・デ・タルベナで集団についていけなくなると、道の脇に寄って自転車を降りました。
第7ステージ、山頂へ向かうポガチャルを最後に押し上げたのはトレスです。エースが最後に頼った選手が、その翌日、この大会でいちばん先にレースを去りました。総合24位からの離脱でした。
🔰 初心者向けメモ: エースが去った翌日から、チームは何を目標にするのか
グランツールのチームは、ふつう総合を狙うエースを中心に組み立てられます。風よけになる、ボトルを取りに行く、山でペースを作る——8人の仕事はすべて、ひとりを3週間後のゴールへ運ぶためにあります。
そのひとりが家に帰ると、仕事の宛先が消えます。残った選手にできることは、目標を「総合」から「ステージ」へ組み替えることです。毎日ひとりを逃げに送り込み、21分の1の勝利を取りにいく。順位表の上では何も残りませんが、チームにとってはそれが3週間の意味になります。
シヴァコフはこの日、レース後にこう言っています。「というより、ほかに選択肢がありますか。当たり前のことです。僕らはいま、ステージを勝ちにここにいる」
出典:Cyclingnews: 第9ステージ ライブブログ(UAEが11分以上を失った翌日の動き、逃げの成立、トレスの棄権。英語) ↗Ciclismo Internacional: トレスの棄権(前日から体調不良を訴えていたこと、タルベナで遅れたこと、総合24位。スペイン語) ↗Cyclingnews: シヴァコフのレース後コメント(「I mean - do we have the choice really?」。英語) ↗