肋骨を折ったまま完走した選手は翌日走らず、ぶつけた側は電話をかけた
この日の集団は、177人でスタートしました。前日より1人少ない数字です。
欠けていたのはルーカ・ファンボーヴェンでした。前日の第7ステージ、残り28kmの小さな町で、アレッサンドロ・ロメレが減速帯にハンドルを取られて右へ膨らみます。ちょうどそのとき、チームメイトのぶんのボトルを受け取って戻ってきたファンボーヴェンが右側にいました。行き場を失った彼は歩道に乗り上げ、激しく転倒します。
それでも彼は自転車に戻り、獲得標高3,750mのその日を走り切りました。178位、勝者から33分17秒遅れ。最後にゴールした選手です。ゴール地点での診断は腰と臀部の打撲と擦過傷でしたが、レース後の精密検査で、肋骨2本の骨折と気胸が見つかりました。ロット・アンテルマルシェの発表です。「ルーカは経過観察のため一晩入院し、残念ながら明日のステージはスタートできません。引き続き注意深く見守ります。ルーカに大きな力と、一日も早い回復を」
ロメレにはイエローカードが出ました。彼はそれを受け入れています。「彼が抜こうとするのに理想的な場面でもなかったし、右コーナーに入るところでもあった。でも責任は僕が取ります。カードは受け入れる。もらって当然でした」「F1で言うレーシングアクシデントです。集団はかなり緩んでいて、速度も遅かった。減速帯で少し自転車の制御を失って右にふらついた。ちょうどルーカが、チームメイトのボトルを受け取って上がってきたところでした」。ステージのあとすぐメッセージを送り、病院へ向かうと聞いて番号を調べて電話をかけた、とも話しています。ロット・アンテルマルシェの側もロメレを責めていません。「後ろに目が付いているわけじゃない」
そして走り出したその日、レースが正式に始まる前にまた落車が起きました。パレード走行の区間です。スタートはしばらく遅れ、全員が体勢を立て直してから旗が振られました。この落車で、ディエゴ・ウリアルテとフロリス・ファントリヒトの2人がレースを降りています。ファントリヒトは、これが初めてのグランツールでした。
落車はそのあとも続きます。スタートから50kmほどの地点でまた集団が崩れ、マッティア・ガッフーリが3人目のリタイアになりました。同じ場所でプリモシュ・ログリッチも倒れています。こちらはジャージが少し裂けただけで、平然と集団へ戻っていきました。
この日10位でゴールしたマシュー・ブレナンは、レース後にこう言っています。「今日は落車がとても多かったし、それがこの日の空気を決めてしまった。今日は多くの人が自分をスーパーヒーローだと思っていた。僕だって多少のリスクは取ります。でも、勝つためなら落ちてもかまわないという人がいる状況は、あまり気持ちのいいものではありません」「一日じゅうそうでした。3時間ほど160ワットくらいで走っていた僕からすると、みんな何をしているんだろうと思います。160ワットでリスクを取るなら、ちょっとどうかしている」
🔰 初心者向けメモ: 「楽な日」ほど落車が増える
山の日には、ほとんど落車が起きません。上りは速度が出ないうえ、集団が縦に伸びて自然にばらけるからです。転ぶのは、決まって平らで広くてまっすぐな道のほうです。
理由は簡単で、脚が余っているからです。上りで削られないぶん全員が最後まで残り、170人がひとかたまりのまま時速50kmで走ります。そのうえで全員が同じことを考えます——勝負どころの手前で前にいたい。追い越す側にも追い越される側にも余力があるので、位置取りの争いは終わりません。
この日で言えば、勝負どころは残り32kmから始まる3級山岳ひとつだけでした。そのふもとに向かって集団全体が前へ前へと詰めていく。道が広いほど、集団は横に何列も並べます。列が増えれば、その一本ずつの間隔は狭くなります。ブレナンが「160ワットで走っていた」と言っているのは、その日がいかに楽だったかという意味であり、同時に、だから危なかったという意味でもあります。
出典:Cyclingnews: ファンボーヴェンのリタイア(肋骨2本の骨折と気胸、178位・33分17秒遅れ、ロット・アンテルマルシェの発表全文。英語) ↗Cyclingnews: ロメレのコメント(「I accept the card, it was fair I got it」、チームの「he does not have eyes in the back of his head」。英語) ↗Cyclingnews ライブブログ: 中立区間の落車とスタート遅延、ウリアルテ・ファントリヒト・ガッフーリのリタイア、ログリッチの落車(英語) ↗Cyclingnews: ブレナンのコメント(「A lot of people thought they were superheroes today」。英語) ↗