「平坦」が時速47kmで壊れていく
プロフィール表の区分は「平坦」。けれどこの日の平均時速は47.4km——今大会でも指折りの高速レースになりました。アクチュアルスタート(パレード走行が終わり、レースが本当に動き出す瞬間)の直後に飛び出したのは、今大会もう何度目かの逃げとなるヴェストロフールとアブラハムセン。しかし集団は2人程度の逃げを許さず、序盤60kmに密集した4つの山岳で、レースは何度も千切れては繋がりを繰り返します。この大混戦の中で落車に巻き込まれたのが総合勢のピドコックとマルティネス——幸い2人ともすぐにバイクに戻りました。ヴォークランとターリングの飛び出しは、なんとマイヨ・ヴェールのピーダスンが自ら潰し、3級コル・デ・プレではファンデルプールの仕掛けをまたもピーダスンの牽きが引き戻します。4級コート・ド・サン・ジャン・ダルヴェでは総合3位のデルトロが千切れる場面もありました(のちに復帰)。砂埃が収まってみれば、ファンデルプール、ベルナル、シモンズ、ストゥイヴェンら16人の第1波が先行し、開幕1時間の猛攻でギルマイらスプリンターの多くが後方に取り残されていました。
🔰 初心者向けメモ: 山の前の「最後のチャンス」がレースを壊す
この日の翌日からは山頂フィニッシュが3つ続き、逃げ屋にもスプリンターにも出番はほぼありません。つまり「平坦」と書かれたこの日は、山を苦手にする全員にとって残り少ないチャンスの日。逃げたい選手が多すぎると、集団は逃げを認めるまで延々とアタック合戦を続けるため、皮肉にも山岳ステージより速く、過酷な一日になります。プロフィール表の「平坦」は、レースの穏やかさを保証してくれません。