横風は集団を3つに割り、そして5分で収まった
この日の予報は、朝から集団に伝わっていました。エブロ川の河口に広がるデルタ地帯は、遮るものが何もない平地です。だから逃げは、いつもの日のように泳がされませんでした。ドゥヴァーシュネスが仕掛けた5人はキュングの機材トラブルで4人になり、差は2分弱から一度も広がらないまま、残り100kmで消えます。
そのエブロ川を渡ったところで、道が向きを変えました。ネットカンパニー・INEOSとリドル・トレックが前で踏み、集団は縦に一本の線になります。リドル・トレックを牽いていたのはマッズ・ピーダスン。エースのマティアス・スケルモースを風から守るための仕事でした。集団は3つに割れます。
このとき後ろ側に取り残された選手のなかに、緑のジャージがいました。イーサン・ヘイター。位置取りが悪かった、それだけの理由です。
ところが、それきりでした。5分ほどで千切れた選手たちは全員が戻り、そこからさらに10kmあまりで風は追い風寄りに変わります。前でエシュロンを組んでいた各チームは、誰もそれ以上踏み続けませんでした。
🔰 初心者向けメモ: 横風は吹かなかった。それでも、横風のレースは走られた
この日いちばん長く風の前にいたのは、リドル・トレックのマッズ・ピーダスンでした。前年のブエルタでポイント賞を獲った選手が、今年はエースを守るために風を受けています。彼は夜、デンマークの放送局TV2にこう話しました。
「エタップの前に言ったとおり、優先すべきはスケルモースを助けることでした。実際には横風走行にはならなかったけれど、横風があるかのようにレースは走られた。だからあの仕事には、やはり脚を使います。ああいう走り方をして、そのあと合流までするとなると、もう多くは残りません」
横風でレースを割るのは、風任せの偶然ではなく、チームがやると決めてやることです。前で風を受け続ける選手を差し出し、その選手のその日はそこで終わります。だから各チームは、割れたあとの絵を先に描きます——「自分のエースが前に残り、ライバルのエースが後ろに取り残される」。その絵が描けなければ、全員が疲れるだけで順位表は1行も動きません。
この日、風は割りに行くには足りませんでした。それでも脚は、ちゃんと減っていました。スケルモース自身は、この一日をひとことでこう呼んでいます——「なんでもないことのためのストレス」。
出典:Cyclingnews: Vuelta a España stage 5 live(横風での分裂と収束の分単位ログ) ↗TV 2 Sport(デンマーク): 「der blev jo kørt cykelløb, som var der sidevind」——ピーダスンとスケルモースの発言(デンマーク語) ↗