地中海沿いの前半——逃げ6人と、強い横風
グリュイッサンのスタート直後から攻撃が飛び、6人があっさり決まりました。前日に続いて緑のジャージのイーサン・ヘイター、ウノエックス・モビリティのマグナス・コルト、ピクニック・ポストNLのティモ・ローセン、グルパマ・エフデジ・ユナイテッドのオリヴィエ・ルガック、ジェイコ・アルウラーのアスビョルン・ヘレモーセ、そしてエキポ・ケルンファルマのマッツ・ヴェンツェル。ピナレロ・Q36.5のミラン・ファデルが追いかけましたが、届かずに集団へ戻ります。
差は2分30秒まで開いて、そこで止まりました。集団の先頭を固めたのはUAEチーム・エミレーツ・XRG。赤いジャージのタデイ・ポガチャルを守るチームが、ジャージを貸し出す気のないペースで引き続けます。6人のなかでポガチャルにいちばん近いのはヘイターの29秒差で、この日の逃げに許された差はそこまででした。
レースが動いたのは、その平坦な道の途中です。海から吹く風が強く、UAEが先頭でペースを上げると集団は縦に伸び、そして裂けました。残ったのは50人ほど。エシュロンを組んだ集団がいくつも後ろに連なり、ポガチャルの右腕であるジョアン・アルメイダまでがチームカーのそばまで下がっています。デカトロン・CMA CGMが猛然と引いてフェリックス・ガルを前へ戻し、数km後には全体がひとつになりました。この日のグリュイッサンの最大風速は毎秒14.5m。ほんの十数分の出来事でしたが、逃げの差はいったん40秒まで削られています。
落ち着いたころ、コフィディスのアレックス・キルシュが静かにレースを去りました。ルクセンブルクの元国内王者で、7年間マッズ・ピーダスンの発射台を務めた34歳です。フランスの自転車専門メディア「ディレクトヴェロ」がチームから聞き取ったところでは、48時間前から体調を崩していて、回復を願って走り出したものの、ゴールまで50kmほどのところで足を着きました。前日のマノスクでも、勝者から15分以上遅れた最後から2番目のゴールでした。この大会2人目のリタイアです。
🔰 初心者向けメモ: 海から山へ——1日のなかで季節が変わる
この日のコースは、地中海のグリュイッサンを海抜26mで出て、標高1,936mのフォン・ロムーでゴールする予定でした。標高が100m上がるごとに気温はおよそ0.6℃下がるので、単純計算でも海岸と山頂では11℃以上の差がつきます。
ブエルタは夏の終わりに走ります。海岸は真夏のままなのに、山の上はもう秋の入り口——ということが起こります。2013年の第14ステージは30℃の陽射しのなかでスタートし、アンドラに着くころには5℃まで下がって、雹と冷たい雨が集団を叩きました。あの日は16人がレースを去り、低体温症で降りた選手もいます。
選手が上りの手前でチームカーからレインジャケットを受け取るのは、寒がりだからではありません。汗で濡れた体のまま下りに入ると、体温はあっという間に持っていかれます。この日の風速14.5mも、平地では「エシュロンの日」ですが、山の上では体温を奪う道具になります。
出典:Cyclingnews: 第3ステージ ライブブログ(逃げの構成・横風・キルシュの離脱) ↗DirectVelo:「Tour d’Espagne : Un abandon chez Cofidis」(キルシュの体調) ↗Cyclingnews: 現地レポート(2013年アンドラの寒波と16人のリタイア) ↗