休息日の午後、バルセロナで手術は終わった
この日いちばん大きなニュースは、レースのある場所からは届きませんでした。バルセロナの病院からです。
第8ステージの道で世界王者ポガチャルは落車し、レースを去りました。診断はその日のうちに発表されています。脳震盪、左鎖骨のずれを伴う骨折、首の骨のいちばん下にあたるC7頸椎の骨折、そして多発する擦過傷。ただ、鎖骨の手術はすぐには行われませんでした。脳震盪の経過を見るあいだは、手術に進めないからです。
チーム代表のマウロ・ジャネッティは、この日の午前にこう話していました。「骨がずれてしまっているので、かなり大がかりな手術になる」「うまくいけば火曜か水曜には手術台に上がる」。ところが、その数時間後には終わっていました。バルセロナの大学病院で、執刀したのはMotoGPのライダーたちの骨折も手がけてきた、肩や腕を専門とする外科医です。
チームの医療責任者の発表は短いものでした。「今日の午後、タデイは手術の許可が下りたのを受けて、左鎖骨の手術を無事に終えました」。数日は入院が続きます。いつ戻れるのかについて、ジャネッティは踏み込みませんでした。「時間をかけます。感情で何かを決めることはしません」
いっぽう、レースに残ったUAEチーム・エミレーツ・XRGは6人になりました。8人で始まり、ポガチャルが第8ステージで、パブロ・トレスが第9ステージで去ったからです。その6人のひとりがケヴィン・ヴェルマークで、彼は肋骨にひびが入ったまま第1週を走っていました。それを世界が知ったのは、第7ステージでチームカーに寄った彼の声を、並走するテレビカメラのバイクがそのまま流したからです。かがんでボトルを取るのが痛い、と監督に冗談まじりに話していました。
翌日、彼は説明しています。「この前に走ったブエルタ・ア・ブルゴスで、最終日に落車したんだ。背中の筋を痛めただけだと思っていたけど、痛みが引かなくて。超音波で見てもらったら、背中側の肋骨に小さなひびがあった。大した怪我じゃない、放っておいても時間が経てば治る。ただ、思い切り踏んだときと、車からボトルを受け取るときに、少し痛みが出ていたというだけだ」
そのボトルは、仲間に配るためのものです。痛みをこらえて彼が車まで取りに行っていた相手は、いまバルセロナの病院にいます。
🔰 初心者向けメモ: 8人で始まったチームに、代わりの選手は来ない
グランツールは1チーム8人で始まります。そして、途中で選手を足すことはできません。誰かがリタイアすれば、そのチームは翌日から7人で、6人で、残りを走り切ることになります。
控えの選手がホテルで待っているわけでもありません。交代枠のある競技と違って、欠けた人数は最終日まで欠けたままです。だから3週目のグランツールでは、4人や3人で走っているチームが珍しくありません。
人数が減っても、仕事は減りません。ボトルを取りに行く、風よけになる、落車のあとに仲間を集団へ引き戻す——同じ量の仕事を、少ない人数で分け合うことになります。順位表には決して出てこない負担が、日ごとに重くなっていく理由です。
出典:Pogacar, operado con éxito de la clavícula izquierda(手術の日付・場所・執刀医。スペイン語)— Infobae/EFE配信 ↗Tadej Pogačar undergoes successful clavicle surgery(チーム医の発表文「This afternoon, Tadej underwent successful surgery on his left clavicle」。英語)— Cycling Weekly ↗ジャネッティの手術前の見通し(月曜午前。原出典はベルギーのオランダ語メディア HLN で、「It will be a fairly extensive procedure, because the fracture has shifted」はその英訳)— IDL Pro Cycling ↗Vermaerke is riding the Vuelta with a cracked rib(「I thought I just pulled a muscle in my back but then the pain never went away」。英語)— Escape Collective ↗