Beginner's Guide
シーズンの歩き方
ロードレースの1年は、1月のオーストラリアで始まり、ヨーロッパの季節は10月のイタリアで閉じます。いま何が開かれていて、次は何が来るのか。月ごとに追いかけると、ニュースで見かけるレースの名前が1本の線につながります。
先に、言葉を少しだけ。ロードレースには、1日で決着するワンデーレース(クラシック)と、何日もかけて走り、合計タイムで総合優勝を争うステージレースがあります。ステージレースのうち3週間のものがグランツールで、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャの3本だけです。総合で首位に立った選手は、その大会のリーダージャージを着て走ります。
1月夏のオーストラリアで開幕する
ヨーロッパが真冬のあいだに、ロードレースの1年は南半球で始まります。最高位のシリーズであるワールドツアーの初戦は、オーストラリアのツアー・ダウンアンダー。冬のあいだに移籍した選手が新しいジャージで走り始めるのも、ここからです。
- ツアー・ダウンアンダーアデレード周辺を走る、ワールドツアーの開幕戦
2月中東を経て、ベルギーの石畳が目を覚ます
2月はまだ肩慣らしの季節で、暖かい中東やスペインのレースで調子を試す選手が多くなります。月末のベルギーで開かれるオムロープ・ヘット・ニュースブラッドが、石畳のクラシックの季節が始まる合図です。
- UAEツアー砂漠の平坦と、山の上のゴールが並ぶ1週間
- オムロープ・ヘット・ニュースブラッドベルギーのクラシック開幕戦
3月白い砂利道から、最初のモニュメントへ
トスカーナの白い砂利道を走るストラーデ・ビアンケで、春が本格的に始まります。中旬にはフランスのパリ〜ニースとイタリアのティレーノ〜アドリアティコという1週間のステージレースが同じ週に並んで開かれ、選手が出るならどちらか一方です。そして下旬、300km近くを走るミラノ〜サンレモ。100年を超える歴史を持つ5つの大クラシック「モニュメント」の、その年最初の1本です。
- ストラーデ・ビアンケトスカーナの白い砂利道を走るワンデーレース
- パリ〜ニース/ティレーノ〜アドリアティコ同じ週に並ぶ、フランスとイタリアの1週間
- ミラノ〜サンレモ5つのモニュメントの、その年最初の1本
4月クラシックの季節
4月はワンデーレースの月です。前半はベルギーとフランスの石畳。ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベが続けて開かれ、パワーと度胸のある選手が主役になります。後半は舞台が丘へ移り、オランダのアムステルゴールドレース、そしてベルギー南部アルデンヌのラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュと、短い登りを繰り返すレースが続きます。こちらは山を得意とするクライマーや、短い急坂を得意とするパンチャーの出番です。このうちロンド、パリ〜ルーベ、リエージュの3本が、5つのモニュメントの2本目から4本目です。
- ロンド・ファン・フラーンデレン石畳の激坂を越えるベルギーの国民的レース
- パリ〜ルーベ「北の地獄」。石畳の区間が50km以上
- リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ現存する最古のクラシック。アルデンヌの登りが続く
5月最初のグランツール、ジロ・デ・イタリア
3週間のステージレース、グランツールの1本目です。初夏のイタリアを巡り、北部のドロミテやアルプスの山では雪が舞うこともあります。総合優勝を争う選手にとっては、ここからが本番です。
- ジロ・デ・イタリアピンクのリーダージャージ、マリア・ローザ
6月ツールへの前哨戦と、各国の国内選手権
ツール・ド・フランスに向けて、選手たちは数日から1週間のステージレースで仕上がりを確かめます。フランスで開かれるのは、長くクリテリウム・デュ・ドーフィネの名で親しまれ、2026年からツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプと名を変えたレース。スイスではツール・ド・スイスです。月末には各国の国内選手権があり、勝った選手は1年間、国旗の色のジャージを着て走ります。
- ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプツールの前哨戦。2025年まではクリテリウム・デュ・ドーフィネ
- ツール・ド・スイスアルプスを越える、もう1つの前哨戦
- 国内選手権国ごとのチャンピオンを決める日
7月ツール・ド・フランス
グランツールの2本目にして、世界最大の自転車レース。3週間かけてフランスを一周し、最終日はたいていパリのシャンゼリゼでゴールします。初めてロードレースを見るなら、この月が入口です。
- ツール・ド・フランス黄色のリーダージャージ、マイヨ・ジョーヌ
8月つかの間の休みと、3本目のグランツール
ツールを走った選手の多くは、ここで短い休みを取ります。月初めには、クラシカ・サンセバスティアンや、ポーランドのツール・ド・ポローニュで走り続ける選手もいます。そして下旬、スペイン一周のブエルタ・ア・エスパーニャが開幕します。ツールで悔しい思いをした選手が、やり直しに来る舞台です。
- クラシカ・サンセバスティアンバスク地方のワンデーレース
- ブエルタ・ア・エスパーニャ赤のリーダージャージ、マイヨ・ロホ。開幕は8月下旬
9月ブエルタの決着と、国の代表で走る1週間
ブエルタは9月の半ばに閉幕します。ブエルタの最後の週には、カナダのケベックとモントリオールでも2つのワンデーレースが開かれます。そして月の後半には、選手がチームではなく国の代表として走る世界選手権があります。勝った選手は、翌年の世界選手権まで虹色のジャージを着ます。
- ブエルタ・ア・エスパーニャ総合の決着は最終週の山で
- 世界選手権虹のジャージ、アルカンシエルをかけた1週間
10月落ち葉のクラシックで、ヨーロッパの季節が閉じる
紅葉のコモ湖畔を走るイル・ロンバルディアが、その年最後のモニュメントです。ヨーロッパのシーズンはここで一区切り。同じ月には、翌年のツール・ド・フランスのコースも発表されます(2026年大会のコースは2025年10月23日に発表されました)。
- イル・ロンバルディア「落ち葉のクラシック」。クライマーの祭典
11〜12月オフシーズン——でも、自転車は止まらない
11月のある日曜には、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムがあります。ツールの名を冠した日本のレースで、さいたま新都心の街なかの短い周回コースを、ツールを走った選手が目の前で走る1日です。選手たちはそのあと休暇に入ります。冬のあいだは、泥と砂のコースを周回するオフロードの競技、シクロクロスの季節です。ロードのスターの中にも、冬はそちらを走る人がいます。
- ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム11月の日曜に1日。日本でツールの選手を見られる日
- シクロクロスオフロードの冬の競技。シリーズ戦のワールドカップは11月下旬から1月下旬
※ 各レースの時期は、主に2026年のUCIワールドツアーのカレンダー(Wikipedia (en) ↗)に基づく目安です。開催日は年によって前後します。
3週間のレースのことはグランツール、ワンデーレースの最高峰はモニュメント、どこで見られるかは観戦ガイドへ。