ツールの歴史で通算88回目の登場となる超級トゥルマレ。平均勾配7.3%、終盤は9〜10%の激坂が延々と続く、ピレネーの主のような峠です。UAEチームエミレーツ・XRGが登り口からペースを上げると集団はみるみる削られ、頂上まで5kmを残した地点——ゴールまでまだ43kmある場所で、世界王者ポガチャルがアタックしました。誰もついていけません。
単独で頂上を越えた瞬間、彼は「アルカンシエルを着てトゥルマレを先頭で通過した史上初の選手」になりました。頂上までの17kmはわずか43分12秒——2023年に本人とヴィンゲゴーが並んで刻んだ従来記録を2分以上塗り替える、ツール史上最速のトゥルマレ登坂でした。そこからの長い下りと最後の登りも独走のまま、2位に2分38秒差の圧勝。ツール通算23勝目はダリガードを抜く歴代単独5位の記録で、本人も「ツールで挙げた勝利の中でも5本の指に入る」と振り返る会心の一日でした。
🔰 初心者向けメモ: 峠の頂にかかる特別賞「スーベニール」
ツールには、偉大な先人を記念して特定の峠の頂上に賞金がかかる「スーベニール(記念賞)」という文化があります。トゥルマレの頂上にかかるのはスーベニール・ジャック・ゴデ。ツールを長年率いた名ディレクターの名を冠した賞で、先頭で通過した選手に5000ユーロが贈られます(この日はポガチャルが獲得)。大会の最高地点には創設者の名を冠したスーベニール・アンリ・デグランジュもあり、峠の頂はそれ自体がひとつのゴールなのです。